caress
甘い時間を過ごしたベッドの上で、
どこが好きかと聞かれた。
えっと聞き返すと、
俺のどこがいいのか知りたいと言う。
わがままで自分勝手な子供の相手をアンタは楽しいのかと。
なかなか自分を客観的に見られる人だと
感心しつつ、どう応えるべきか悩む。
どこが好きかって全部好きだとしか言いようがない。
そのわがままで自分勝手で自己中心的な性格もすべて
好きだった。
「ふーん」
しばらく答えに悩んでいると、
「結局、好きじゃないわけ?」
と不機嫌になる。
ベッドから下り、机のモバイルに向かう。
カタカタをなにか打ち込んだ後、振り返り、
「あと10秒以内に応えないと、護衛をクビにするから」
と言う。
「もう異動届も入力済みだし、あとはエンターキーを押すだけ、
さあ、あと7秒しかないぜ」
「そのリミット1時間後にしてもらえます?」
こちらからの返事にいぶかしげな表情を見せている。
「さっきのではご満足いただけなかったようなので]
そう言ってベッドに押し倒し、
身体にやさしく触れる。
「1時間でいいのか?」
と背中に手をまわし、口元に笑いを浮かべる。
「お望みとあれば、明日の朝までお付き合いしますよ」
相手の体温を感じるように
しっかり抱きしめながら、話しかける。
「ひと月前に射撃場で会ったのを覚えてますか?復活祭の夜です」
「ああ、勝負をした…」
「あの時、わざと負けてくれたでしょう」
クルルは驚いた表情を一瞬だけ見せて、
「何故そう思う?」
と聞き返す。
「射撃は私の十八番です。
あなたの最後のショットは明らかに本気ではなかった。
それぐらい解りますよ。
私が勝てば、あなたがライフルの新調をしてくれる約束でしたね。
私はこう思うんです。意地の悪いあなたは自分から進んで、
私の役に立つことなんてできないから、
あんな勝負を思いついたのだと」
「ばかばかしい」
クルルのとっさの言葉は強がりにしか聞こえない。
本人も自分の台詞の空々しさを感じたのか、それ以上、何も言わなかった。
「あなたのその優しいところが好きですよ」
腕の中の存在は誰より愛しくて、抱きしめる腕に力を込める。
「今度、人の心のなかを覗き見られる機械を作ってみたらどうですか?
そうすれば、私がどれほど貴方を愛しているかわかるはずです」
「よくそういうことを恥ずかしげもなく言えるよな」
クルルは少し呆れて、私の顔を見つめ、唇を重ねる。
「通算966回目のキスだぜ。これが」
「数えているんですか?」
「俺が適当に言うタイプだと思う?」
ベッドのなかであれほど乱れていながらキスの回数を数えていたのかとさすがに驚く。
時々、何を考えているのか理解できないことも多いけど、
そういう一風変わったところもこの黄色の魅力の一つだと思う。
それに尻尾つきで少佐というだけで、最初に会った時から十分普通ではないと解っている。
「記念すべき966回目のキスをあなたからしてもらえて光栄ですよ」
967回目になるキスを交わして、
指先を感じる箇所へと緩やかに移動させる。
指と手のひらで硬くなりつつある部分を愛撫すると
腕の中で小さく甘い息をもらしているのが聞こえた。
「クルル、愛してます」
その言葉で会話を終え、快楽を二人で追求する。
深く繋がりながら、
自分の恋い焦がれている気持ちが
伝わるように、
何度も何度も繰り返し、口付けをする。
「ガルル…」
自分を名を呼び縋るクルルの唇を塞ぎ、
黄色の身体が感じるままに強く抱き締め、
朝が訪れるまで、熱い想いを一晩中注ぎ込み続けた。
end
「slopes exit」の猫柳太吉様への3333打キリバンのリクエスト「甘々ガルクル」です。
本当にショートショートで読み応えとか皆無なんですが、イチャラブな二人を目指してみました。
いつもお世話になっている太吉様に素晴らしいSSをと思ったんですが、すみませんな感じです。
すっかりお待たせした上に、駄文で申し訳ないんですが、良かったらお受け取りくださいませ。
最後になりましたが、太吉様、リクエスト本当にありがとうございましたvv。
戻る