「性悪なのか淋しがりなのか計算なのか強がりなのか」



耽溺する五題より- rewrite





少佐はここ数日ラボの研究室に籠り、
一つの惑星と衛星の質量分析に関する何とかというレポートの取り組んでいた。

「いつもラボにいてもいい案が浮かばない」
と言って、モバイルを片手に安いファーストフード店へ行き、
BGMの音楽と人々の会話で騒がしい店内のなか、
侵略の歴史を塗り替えるような革命的理論をレポートにまとめた。
「あとは保存すれば終わり、やっぱり俺って天才だね」
ご機嫌な少佐は冷めたコーヒーを飲みほし、店を出ると
「なんか、すげーいい気分。せっかくだから、ガルル、たまには一緒に寝るか?」
と突然、思いついたように誘われた。

こちらがいくらその気でも、
彼は自分のワークが終わらないと全く振り返ってはくれないのにと
気まぐれな彼の提案に少し不満に思いながらも、誘われて悪い気はしない。

実は街に出られると警備する自分にとって、かなりの負担だった。
周りは一般人とは言え、どこで襲撃されるかわからない。
そう申し上げると、
「俺のことを守るのがお前の役目だろう」
と言われ、返す言葉がなかった。


自他共に認める天才の彼を悩ましていたのは
のちに惑星麻酔という名で、
ケロン軍の侵略戦略の一つになった理論だった。
その後、この侵略戦略を使って彼と対峙するとは、
このとき想像もできなかったが…。

ラボに戻り、仮眠室のベッドで体を重ねると、
冷たい体温が懐かしく、舌で直接その全身を味わう。
一番、敏感なところに触れずにいると
「ガルル…」
眼鏡ごしにうるんだ目でねだってくる。
頭のいい彼にとって、全ては計算ずくなのかもしれないと一瞬過るが、
それでも構わないと思う。

熱くなっている部分を優しく握ると、
その刺激だけで、白濁した液があふれ出してきた。
「ずいぶん、感じやすいですね」
そう言って濡れた指を舐めて見せる。

乱れた息で、
「もういいだろう?」
とこちらの欲情を誘うので、
「少佐から続きをお強請りしてください」
と応えてみる。
「…」
無言で不機嫌そうに眉をひそめるだけの彼を抱きよせ、
「こんな風に感じまくって、悦んでいるくせに、
お強請りしてくれないんですね」
と言って、強情な彼の返事を待たず、
黄色い脚を広げ、硬く閉ざされた入口を押し広げるように自分自身を挿入する。
「ああ、ガルル…」
背中に腕をまわし、縋ってくる彼の身体を抱きしめ、
このかわいく我儘な上官の本質がどこにあるか、ふと思う。

性悪なのか淋しがりなのか計算なのか強がりなのか。

性悪で、淋しがりで、計算ずくで、強がりな彼に
振り回されるのは嫌ではないが、
もっともっと私に心の奥を見せてほしいと思う。

快楽に浸る黄色の身体が何度目か絶頂を迎え、
それと同時に己の白い欲望の塊を彼の最奥に吐き出す。
唇を重ね、「愛してる」と告げると
彼は満足そうな微笑みを返して、その意識を闇の淵へ堕としていった。



 end
  
****************
お題に挑戦してみたところ、
エロな内容になってしまいました…。
    
  
戻る