スイーツ再戦(後半)
18歳以下の方はご遠慮ください。
その日、夏美に、
「天気が悪くなったら洗濯ものを片づけてほしい」
と頼まれていたのを思い出して、急いで帰宅したが、
もう雨は降りだしていて、ビショビショになった衣服を慌てて、室内にとりこむ。
この濡れた洗濯物を見た夏美が怒るのは容易に想像できた。
「ああ」
ため息をついていると床からクルルが出てくる。
「先輩、お困りですね。俺が何とかしてやろうか?」
「別に困っていない」
「そう遠慮するなよ。俺の発明品で簡単にビショビショの洗濯物も一瞬で、さらさらのふわふわになるぜ」
夏美に怒られたくない気持ちと、こんなヤツに頼ってしまうのが嫌な気持ちがあって逡巡するも、
最終的に夏美に失望されるのが一番辛いと思って、
「クルル、じゃあ頼む…」と言ってしまった。
クルルはいつもの薄笑いを浮かべて、
「俺はギブ&テイクだがら、それは覚悟してろよ。先輩」
すると洗濯物と俺とクルルは一緒にラボへ移動する。
いわゆるドラム式と言われる洗濯機の中へクルルが洗濯物を入れて、
セットすると本当に一瞬で、衣服はカラカラに乾いていた。
「助かった。クルル」
乾いたバスタオルを確認して、俺がそう言うと、
「次は先輩の番だぜ」
クルルは答えて、また次元転送で移動する。
そこはフカフカのベッド上で、
「いいだろう。これ、先輩のために特注のベッドさ」
と言われて、まだ状況が飲み込めない俺はクルルに押し倒された。
「気持ちいいことしようぜ」
なんて卑怯なヤツだろう。この眼の前の男は。
俺には叶わない恋だと言っておきながら、
自分の欲望は一方的に俺に押しつけようとしている。
こんなヤツに好き勝手させてたまるかという気がして
押しつけている腕を力任せに振りほどく。
「俺はお前の答えを聞いてない。どうして俺にこんなことをしようする?
からかって遊んでいるのか?
だったら俺はお前の悪ふざけに付き合う気はない。
ただの性欲の処理ならそういう人形でも抱いてればいいだろう?」
「人形も悪くないが、反応しないからつまらないぜ」
「だったら、金銭で解決できる店に行けばいい」
「面倒くさい男だな、オッサンは。
はっきり言ってやるよ。俺はアンタがいいの。アンタが好きで、抱きたい」
クルルはそう言ったあと、さすがに照れくさかったのか、
視線を逸らして黙ってしまった。
俺は俺のことを好きだと言うクルルのことを不思議な気分で見ていた。
嘘や冗談にはとても思えなかったし、きっと本心だろうということも分かった。
そして、臆病で告白する勇気も諦める勇気もなく、
中途半端に恋している自分を顧みる。
俺は卑怯で気概のない腑抜けだった。
一方のクルルはこうして手段はともかく、
ちゃんと自分の気持ちを伝えられている。
前線兵でもないのに意外と勇気あるなと他人事のように感じながら、
俺はこういう無謀な勇ましさは嫌いじゃないと思う。
自分に振り返ってくれる可能性のない相手に愛を請うなんて、
無謀過ぎてきっと小心者の俺にはできやしないのだから。
「ギブ&テイクだったな。クルル、こいよ」
俺はクルルの手を取って、俺の心臓に重ねる。
平常より速く打つ鼓動が伝わるように。
「今だけはお前に好きにさせてやる」
俺のほうからクルルに近づき、軽く唇を交わす。
そうさ、お前のその勇気に免じて、
俺はその時、今日だけはお前のものになってやってもいいと思った。
クルルの指は器用に優しく俺に触れ、
その指先の動きはゆっくりと俺の羞恥を飛ばしていく。
人に触られたことのない箇所まで指が到達した時、
耐え切れなくなった俺はクルルにしがみ付く。
「あっ…あ」
思わず漏れる声が自分の耳に届いて、慌てて右手で口を塞ぐ。
「声、聴かせて…先輩」
いつもとは違う穏やかな口調でクルルはそう言うと、俺の手の甲に口づける。
嫌味で憎たらしい薄笑いを封印したクルルは
これまで見たこともない表情をしていて、不覚にも見惚れてしまう。
「クルル…」
俺は名前を呼びながら、腕を背中に回す。
クルルの指が俺の中へ入ってきて、緩やかにそこを刺激する。
「いっ…あっ…」
指で内部をかき回される初めての感覚。
次第になにもわからないようになって、夢中で黄色の身体に縋っているうちに
指が1本から2本へと増やされ、敏感な内壁を弄り尽くされる。
「先輩ってすごくいいぜ」
クルルはそう言うと指を引き抜き、猛々しく勃った雄の欲望を押しつけてくる。
両脚を持ち上げられ、俺の最奥までそれを押し込んで、
クルルは腰を激しく動かし始める。
自分のモノがいつも間にか大きく勃起し、
先から雫を溢れるほどにこぼしているのも気づかない。
汗と性的な匂いが充満する空間で、俺たちは体力の続く限り求め合った。
目が覚めた時、正面にクルルの顔が見えた。
「おはよう。先輩」
そう言って、キスしようとするので、左ストレートで殴っておいた。
クルルはベッドから落ちて、一瞬床に倒れたが、すぐに起き上がり、
「お姫さまに目覚めのキスをしてやろうと思っただけなのに…」
と不満そうに言う。
「誰がお姫さまだ!!」
「先輩ってとても甘くて素敵だった。またやろうぜ」
相変わらずクルルの言っていることは意味がわからない。
「こっちはいろいろ最悪だ」
と思い出すのも汚らわしい行為を振り返る。クルルに跨り自ら腰を使って絶頂を味わい尽くした自分を撃ち殺したい。
「ギブ&テイクってことで、これで貸し借りはなしだ」
と、クルルがリモコンのスイッチを押す。すると庭のテントに転送された。
外は暗く、身体がギシギシと痛むんで、もうひと眠りすることにして、
時計をみると針は午前4時を指している。
毛布を被り、目をつむるとクルルの気になるセリフを思い出す。
「甘いって…俺はそんな味がするか」
と自分の手を舐めてみる。
正直、まったく味は感じられず、
「あいつは味覚も変だ。二等兵といい近頃の若者は味覚音痴ばかりだな…」
クルルの変人さを今さらながら実感して、そのまま俺は深い眠りについた。
end
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8888打リクエストのPiさまよりのリクエストの甘めクルギロ(R18)です。
リクエストから何ヶ月も経ってすみません。その甘さじゃないだろうというツッコミはもちろん受け付けます。
きっと伍長さんの味はクルルにしかわからないと思います。