love is real



いつも同じようなセリフに飽き飽きだぜ。
「愛しています」
と行為の最中に何度も口にする男のことが多少は好きだった。
だから、
「愛しています」と言われて悪気はしない。
でも何度も口にすると言葉が軽く、本来の意味をなさない気がする。
切り札は最後までとっておくのが俺流だ。
俺は簡単に「愛している」なんて言わない。

「そんなにされるともうイキそうだ」
脚を広げられ、下半身を舐められる。相変わらず執拗すぎる愛撫に
体は反応する。
「我慢するな、クルル」
その声で、俺の名前を呼ばれると胸が痛くなる。
心臓が壊れそうなほど、ずっしり響く低い声。
いつも反則だと思う。
「口に出してしまいそうだ」
と言うと、
「全部飲みますから」
と答える。
あんな生臭くて不味いもの、よく平気だ。
俺もたまにはお返しに口でコイツのものを
奉仕する日があるが、終わった後はまっすぐ洗面室へ直行して、
口のなかを臭いがとれるまで何度も濯ぐ。
だが、コイツは、
「あなたのものをいただけるなんて光栄です」
と言っていつも一滴残らず飲み干す。

言葉をつなぐも口、精液を受けるのも口で、
キスするのも同じ口だ。

「愛している」という陳腐でありふれた言葉で
俺達の関係は言い表せないと思う。
それでも…。

考えても考えても何も答えは見つからない。
どうして今、抱かれているのか、自分でもわからない。
「愛しています」と言いながらキスする男が、
ゆっくりと確実に自分とひとつになる瞬間の高揚が
忘れられず、何度も肌を重ねてきただけだ。


「俺は愛してないぜ」
ガルルは俺の嘘に気付いているかもしれない。
でも真実はいつも闇の中って言うだろう。
俺が愛を口にするのは多分、どちらかが死ぬ時だ。

ガルルの動きが激しくなり、何かを考える余裕がなくなる。
嘘も本当も全て快楽のなかに溶けていきそうだった。




  終わり
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急にガルクルが書きたくなりましたので、短文です。
クルル目線で、愛があるのかないのかハッキリしない状況を
ちょっとエロ込みで。
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